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租税判例百選を読む 第7版


1,憲法と租税法

金子宏先生は、もし、本件のXが、給料所得控除の金額を
上回る必要経費を支出していたことを立証した場合には、適用違憲の法理により、
救済が認められるべきではないだろうかと伊藤補足意見を引用している。
すなわち、サラリーマンでも、給料所得以上に経費があれば、控除できると言っている
のではないだろうか。


2,租税法律主義における租税の意義

旭川市国民健康保険条例事件だが、読んでいても意味がわからない。
憲法84条が適用できないと言っておきながら、かっこがっきで、
形式が、税である以上84条が、適用されると言っている。
誰か私に解説して欲しい。


3,納税者の租税法規上の地位の遡及的変更

これ、長期譲渡の損益通算が、できなくなる法律が、3月31日に
公布され、1月1日まで、遡って遡及するというおかしな法律が、可決され
実行されて裁判になったケース。判決は、与党の税制改正大綱が、前年に
発表されたから、周知されていたというものだった。
不動産というものは、そんなに急いで売却できるわけがない。
可決される前の1、2,3月の納税者を救済すべきだろう。
2月に売却して、更正の請求が、通らなかった納税者の怒りが、
よく分かる。酷い判決。
評者は、平川先生だ。
平川先生、知り合いなので、良い評釈文ということにしておこう!

4、課税要件法定主義

固定資産税の軽減の証明書を後から出したら、
認められなかった事案だ。
まあ、リテラシーの低いオイラには、
難しい案件だ。
まあ、法律に規定されてない徴収は、認められないというのが、
租税法律主義ということだ。
国会を通らない法律では、徴収できないということだ。
百選を読む限り、
証明書の後出しが、これに該当するかいなかが、
リテラシーの低いオイラには、わからなかった。
1審は、納税者が、勝ったが、2審、最高裁は、
課税行政庁が、勝ったみたいだ。
評釈者の先生、書き方悪い感じ。

5、合法性の原則

脅迫で、取られた自動車の自動車税の減免を求めた裁判だった。
天災その他特別な事情をにより被害を受けた者に該当するかいかないという事案だ。
まあ、1審は、認められなかったが、
2審は、認めた。
最高裁は、取り消して、認めなかった。
盗難は、減免を認めるが、脅迫は、だめらしい。
脅迫は、客観的に明らかじゃないという判旨だった。
評釈者が、勉強会で、お世話になっている吉村先生だ。
明確な評釈だとヨイショする。
ただ、別なアプローチがあったかもしれないと評釈している。
自動車税を財産税として解釈して、
実質的に保有をしてないという
実質的所有者アプローチもあり得たかも知れないと
先生は、評釈している。
まあ、要するに、弁護士と補佐人税理士が、切り口が、
ダメだとしているのだろう。
さすが、頭脳明晰の吉村先生だ。
切り口が、鋭い。
オイラは、先生についていこう。
強いものについていくずるいオイラだ!

6、租税法の解釈と通達

パチンコ機器に関して、
今まで、物品税が、課せられなかったのに、
通達を改正して、
物品税を課税行政庁が、
課してきた事案である。
納税者は、今まで、課税してなかったのに、
通達を改正するのは、
租税法律主義に反すると主張してきた。
それに対して、裁判所は、
今までが、違法だったので、
通達を正しく改正しただけだと判断した。
まあ、後だしで、
課税行政庁が、
課税できるようになった。
怖い判決だよなあ。
最高裁が、きめ細やかな周知義務をかしているが、
今まで、OKだったのに、
通達で、課税なんて、怖いよなあ。
通達は、行政庁の従うだけの決まりであり、
法律ではないですよね!

7、自主財源主義

神奈川県が、繰越損金を使う大型企業に
外形標準課税が、導入されるまで、特別企業税を課した。
それに対して、本件原告が、取り消しを求めた事案である。
1審は、納税者が、勝ち、2審は、神奈川県が、勝った。
最高裁は、納税者が、勝ち、取り消された。
法定普通税に関する条例において、
地方税の定める法定普通税についての強行規定の内容を
変更することが同法に違反して許されないことはもとより、
法定外普通税に関する条例において、
同法の定める法定普通税についての
強行規定に反する内容の定めを設けることによって
当該規定の内容を実質的に変更することも、
これと同様に、同法の趣旨、目的に反して、
その効果を阻害する内容のものとして許されない。
と判旨した。
地方団体の課税権を否定した判決である。
法人事業税から、逸脱した条令は、許されないと判示した判決である。
赤字の地方団体には、厳しい判決である。
まあ、どこまで、地方団体の自主財源権が、認められるかという問題もある。
ただ、総務大臣が、許可しても、
この判決で、法人事業税から、逸脱した課税は、
できなくなった感じである。
まあ、いろいろ諸問題をかかえた判決といってよい。

8、地方団体の課税権

大牟田市は、地方税により、電気ガス税を課していた。
だが、地方税改正により、削除された。
大牟田市には、ガスを大量使用する企業群が、
存在していた。
それに課税できないのは、
自由な自主課税権を保証した憲法92条に違反していると
国を告訴した。
だが、最高裁より、憲法は
特定の地方公共団体に具体的税目についての
課税権をみとめたものではないと棄却された。
評釈者は、地方公共団体には、
抽象的課税権しかみとめてないと最高裁は、判示している
といっている。
でも、具体的課税権が、否定された時点で、
地方公共団体の課税権は、否定された感じがする。

9、不公平な課税と処分の適否

スコッチライト事件と呼ばれる事案である。
スコッチライトと呼ばれる反射材を輸入したところ、
合成樹脂だとして、関税を30%と課税した。
ところが、他の管轄で、ガラス小玉として20%の関税しかかけてないことを
知り、相談をして、20%にして貰った。
大蔵省から、連絡により、30%になるまで、
全国で、20%で、関税が、続けられた。
30%の課税については、無効であり、
20%の差額分を返せと訴えた。
最高裁は、棄却!
ただ、最高裁は、みぎ状態の継続した期間中は、
法律の規定に反して多数の税務官庁が採用した軽減された課税標準
ないし、税率の方が、
実定法上正当なものとされ、
としながらも、軽減された部分については、違法としている。
まあ、他の人に比べて、、
高い税率で払った場合には、平等原則に反するとして、
合理性原則に抵触すると金子先生は、述べていると評者は、
論じている。
金子先生は、租税法P88で
合理的理由がないにもかかわらず特定の納税者を不利益に扱う場合には、
法令を正しく適用してなされた課税処分も違法になるとしている。
まあ、税法の取り扱いでは、間違った判断でも、
他の税務署で、施行されている考え方は、
正しい判断よりも、
有利な場合、平等主義に合理性原則で、
認めるべきだというのが、金子先生の判断では、
ないだろうか。

10、租税徴収権の消滅時効の完成猶予と更新

所得税の加算税等を滞納のしたので、催告書を発した上、
電話加入権を差し押さえた事案。
1審2審とも納税者が、勝ったが、最高裁は、課税行政庁が、勝った。
催告により、時効が、中断されるとされた。
督促状を出さなくても時効が、中断されるとした案件だと思う。

11、詐害行為取消権と納税義務成立の要否

債権債務の関係にある者が、
債務者が、第三者に資産を移転した場合に、
債権者が、その移転を差し止める行為を詐害行為取消権という。
疎外Aは、土地を売却して、兄弟会社みたいなYに対して、借入金の返済をした。
Aは、法人税を滞納して、これに対して、国税Xは、
Yを被告として、告訴した。
最高裁は、債務者が債務の本旨に従って弁済をしたときであっても、
特定の債権者と通謀し、
他の債権者を害する意思をもって弁済したような場合には、
詐害行為になるものというべきであると判示した。
国税の請求を容認した。
まあ、税法というより、民法の話である。
通謀して、債権を回収を邪魔した場合には、
詐害行為取消権が、認められるという民法の話が、
国税の徴収にも認められた話である。
まあ、兄弟会社みたいなところの資産の移転は、
通謀があると裁判所が、認定されてしまう可能性のある事案だ

12、租税徴収法における私法の適用

所有者に断りもなく、勝手に登記されてしまった不動産に、
登記した人物が、税金を納めないので、国税が、公売しちゃった話である。
まあ、酷い話だ。
他人の土地を公売するなんて、国も酷いよなあ。
不実の登記に係る名義人に対する滞納処分として
右登記に係る不動産について差押をした
行政庁及び当該公売に係る買受人は右にいう
第三者に当たると解するのが、相当であると最高裁は、判示した。
最高裁昭和31.4.24判決により、
租税債権がたまたま公法上のものであることは、
この関係において、
国が一般私法上の債権者より不利益の取扱を
受ける理由となるものではない。
それ故、滞納処分による差押の関係においても、
民法177条の適用があるものと解するのが相当であるとした。
このように、租税債権の取扱にも、私法が、適用されることとなったのである。
でも、酷い話だよなあ。今回のは、自分の不動産を勝手に登記しておいて、
悪いヤツが、納税しなかったから、公売するなんて、
油断も隙もない感じです。
まあ、ここから言えることは、
名寄帳は、毎年とって、前年と比較しないといけないです。
何も知らないと酷い目にあうということです。

13、租税法規の解釈

ホステス報酬の事件だ。
ホステス報酬が、5000円控除があるのだが、
今までは、出勤日で、控除していた。
それを、ホステスさんは、休みの日でも、
お客さんとゴルフに行ったり、電話をしたりするから、
休みの日も控除する日にいれた。
まあ、条文を文理解釈すると納税者の主張になるというわけだ。
一審、二審とも、納税者が、負けた。
最高裁は、租税法規は、みだりに規定の文言を離れて解釈すべきものではなく
として、納税者を勝たせた。
まあ、租税法律主義による判断だといえる。
渕先生は、最判解民事編を引用して、
最高裁の立場は、
租税法律主義の趣旨に照らし、
文理解釈を基礎として、
規定の文言や当該法令を含む関係法令全体の用語の意味内容を重視しつつ、
事案に応じて
その文言の通常の意味内容から乖離しない範囲で、
規定の趣旨目的を考慮することを許容している。
としている。
まあ、税務署に分離解釈を否定したら、
こう主張するしかないな。
もし、税務署が、文理解釈を主張して、実務と合わなければ、
最高裁平成26年12月12日の判決を出して、
明らかに、課税上の衡平に反するとして、こっちの実務の主張をすべきと言える。
まあ、租税法律主義には、両方を上手く使う感じですよね!


14、武富士事件

両親は、武富士の株をオランダの会社に出資して、オランダの株式を香港在住の長男に贈与した。
香港にいた長男が、出奔した。
判決は、長男が、4分の1を杉並の自宅にいたことになっていて、
そのことは、香港の居住が、3分2に及んでいるので、
租税回避といえども、
否定することは、できないとなっている。
まあ、そのお陰で、平成12年4月1日以降は、
5年を超える住所を移さないといけないことになった。
まあ、この事件は、国が、負けたために、
補正予算を組んだことが、知られている。
まあ、この事件、
長男が、寂しさのあまり、
香港を逃げ出した。
財産を受けつくために、
結婚もできずに、
海外にいることに悲鳴をあげていた。
相続税が、。いかにに酷税であるかを知らしめる事件であった。
須藤裁判官の捕捉意見で、
香港に居住があるとは、みえないみたい意見もあった。
まあ、ネット社会における居住の判断の難しいところですね。
インターネットが、発達すると香港にいても、東京にいても、
同じ仕事が、できることになるということです。
そういえば、今は、住所が、10年を超えるになった記憶がある。
オイラが、ボケているのかな!


15、取得時効と課税

Xは、取得時効を起因とする裁判を起こし、土地を取得とした。
その際に、土地取得の収入を確定申告に含めなかった。
Y税務署長は、土地の取得は、一時取得になるとして、
更正決定を行った。
それに対して、Xは、土地の取得は、占有開始時においてであり、
もう、時効だと主張した。
最高裁は、右援用時に取得したものとし、
棄却した。
土地の評価は、裁判で、土地を獲得した時期にするものとした。

まあ、当たり前の判決です。

16、相続税減額を目的とした養子縁組の効力

税理士により、養子縁組による相続税減額も目的とした養子縁組の効力の
問題である。
Aが、長男Bの子供Yを相続税減額の目的で、養子にした。
しかし、AとBの仲が、悪くなり、
Aは、離縁届毛を出した。
それに対してYが、無効確認の裁判を起こし、
Aが、養子縁組が、無効であると、反訴をした。
Aが、亡くなり、長女Xらが、訴訟を引き継いだ。
1審は、Xらの請求を棄却した。
2審は、Xらの主張を容認した。
最高裁は、当事者間に縁組をする意思がないとき
に当たるとすることはできないと2審の判決を破棄した。
まあ、節税目的で、養子にしたのだから、
気に入らないから、離縁するとは、できないということである。
まあ、税金とは、間接的に関係しているが、
直接的に関係した感じじゃない。
まあ、言えることは、養子縁組は、慎重にやるべきだということである。

17、租税法と信義則

Xは、父親から、引き継いだ酒屋を営業していた。
父親の代では、青色申告だった。
Xは、青色申告の手続きをせずに、青色申告で、申告をした。
課税庁Yに指摘を受けるまで、続けた。
以後承認を受けた。
承認を受ける前2年間の青色否認の更正処分と賦課決定処分を受けた。
その取り消しを求めた裁判である。
1審2審ともXの主張を認めた。
最高裁は、破棄差戻しでYの主張を受け入れた。
最高裁は、信義則について
少なくとも、税務官庁が納税者に対して信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、
納税者が経済的不利益を受けることになったものであるか、
また、納税者が税務官の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて
納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮は不可欠のものであるといわなければならない。
とした。
まあ、税務署の指導を信じて、やたら、あとから、税務署に否認されたら、
それは、税務署さん、信義則に反しますという感じである。
評釈者の水野忠恒先生は、
1、税務官庁が納税者に対して信頼の対象となる公的見解を表示していたことにより、
2、納税者がその表示を信頼しその表示に基づいて行動したところ、
3、のちに上記表記に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、
4、納税者が税務官庁の上記表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由
がないかどうかいう点の考慮は不可欠である
と言っている。
まあ、税務署に相談してその通りにして、後から否認されたら、信義則で、是認してもらうということである。
そういえば、水野先生は、幕臣水野忠邦の子孫だ。

18、私法上の法形式の選択と課税

俗にいう、岩瀬事件である。
Xは、借地権と建物を保有していたが、
地上げをするP社よる誘いに乗り、
最初に売却の契約書を結んだが、
国土法で、否認されて、
評価を下げた。
そして、Xは、次の住む土地と建物の建築費用を貰う契約にした。
そして、XとP社は、それぞれ、
Xの所有する借地権と建物の売買
P社の所有する土地の売買と建物を建てる差益金の契約を結んだ。
二つの契約を結んだ。
でも、課税行政庁Yは、これは、交換だとし、国土法で、否認された金額の交換とした。
で、Xが、告訴、
一審は、Yの主張を認め、交換だとした。
二審は、Xの主張を認め、二つの売買で、評価をさげた譲渡所得の金額とした。
最高裁は、棄却して、
Xの主張が、確定した。
・・・租税法律主義の下においては、法律の根拠なしに、
当事者の選択した法形式を通常用いられる法形式に引き直し、
それに対応する課税要件が充足されたものとして取り扱う権限が課税庁に認められているものではないから、・・・
と二審に判示された。
ようするに、条文にない課税は、できないと判示したものである。
租税回避を認められても、
条文になければ、課税しちゃダメだということだ。
でも、評者の谷口先生は、租税法律主義による、租税回避に
条文がなければ、否認するという主張に一定の歯止めをかけたと評している。
そうは、読み取れない。
オイラの読み方が、不十分なのかなあ。

19、租税法規の限定解釈

俗にいうりそな事件である。
複雑なスキームである。
源泉の外税控除を利用して、利益を得た感じである。
ざっくりいうと、海外で払った利息の税金を日本で、還付するみたいな感じである。
りそなの場合、
海外で、払った利息の源泉をそれに以上に国内で、還付をうけた仕組みだったので、国税庁が、怒った。
まあ、儲けていたのだ。
最高裁は、・・・本件取引に基づいて生じた所得に
対する外国法人税を法人税法69条の定める外国税控除の対象にすることは、
外国税額控除負制度を濫用するものであり、さらには、税負担の公平を著しく害するものとして
許されないというべきである。
と、して、高裁のりそなの勝った判決を破棄した。
これ、20年前に、オイラが、慶応の勉強会で、発表をして、ぐたぐただった。
まあ、本判決は、租税法の解釈は、限定的に解釈をするという判決だ。
まあ、ずるいことをしたら、租税法の条文は、適用しないとした。
でも、条文にあるんだから、仕方ないと思う。
悪いのは、条文を作った方だ。
悪用されたのは、国の注意が悪いと思うが、
そういうことをいうと、業界で、オミットされるので、やめておく。
やはり、悪いやつは、処罰されるべきだ。


20、タックス・シェルター

流行った映画のフイルムの減価償却費の話である。
よくある匿名組合を作り、そこに、映画の著作権を買い、減価償却をし、会社の経費にするというスキームである。
基本映画のフィルムは、文化保存のためとリスク回避のために、短期間での償却が、認められていた。
それに目をつけたコンサルタント会社が、原告に匿名組合に出資をさせた。
まあ、匿名組合は、映画を買ったものの、配給権は、なかった。
で、Xは、出資金を備品を計上して、減価償却を行った。
で、課税行政庁Yは、否認した。
で、裁判し、一審、二審ともYが、勝った。
で、最高裁は、
本件映画は、本件組合の事業において収益を生む源泉にあるとみることはできず、
本件組合の事業に供しているものということはできないから、
法人税31条1項にいう減価償却資産に当たるとは認められないとした。
まあ、配給権がないのが、いけない感じがする。
まあ、ジュリストの渕先生は、自主占有権を指摘している。
まあ、配給権があれば、裁判で、勝ったといえよう。
まあ、判決は、配給権がないから、所有権もないじゃないと指摘していると渕先生は、いっている。
オイラ的には、こういうとリース会社の場合どうなるのかなあと疑問が見えた。


21、民法上の組合の課税関係

訴外A組合の組合員Xは、組合の仕事をして収入を得た。
これを課税行政庁Yは、事業所得とし、
Xは、給与所得と主張した。
1審は、給与所得とし、2審は、事業所得とした。
最高裁は、
当該労務の提供や支払の具体的態様等を考察して客観的、実質的に判断すべきであって、
組合員に対する金員の支払であるからといって当該支払が当然に利益の分配に当該することになるものではない。
また、当該支払に係る組合員の収入が給与等に該当することが直ちに組合と組合員との間に
矛盾した法律関係の成立を認めることになるものではない。
と2審の判決を破棄した。
まあ、難しい感じ。
会社なら、給与だろうけど、組合なので、組合員の集合体が、組合という概念らしい。
評者は、組合員から、労務をうけとった場合、
1、それをすべての場合について労務の出資と金銭の分配と考える。
2、組合員が組合外の第三者と同様の立場で組合と取引を行ったときには、
それを出資と考えず、組合=第三者間取引と同様に
考えることも制度的にありえる
とし、最高裁は、2をとったとしている。
まあ、この判決は、ストックオプション裁判において、まあ、
少しは、利用できそうである。

22、匿名組合契約の課税関係

Aは、航空機リースを行う匿名組合に出資した。
そのなかで、Aは、何ら組合に関して権利は、出資と配当だけしか与えられなかった。
で、Aは、損失を不動産所得の損失として申告をした。
で、課税庁が、否認をした。
1審2審ともAは、単なる出資者に留まるとして、敗訴した。
最高裁は、
本件匿名組合契約においてAに本件リース事業に係る重要な意思決定に関与するなどの権限を付与する合意があったということはできず、
として、雑所得しとし、Aの上告を棄却した。
評者は、知り合いなので、良い評釈だったとしたい。
まあ、射程は、匿名組合の出資は、契約内容から共同事業性を有する
と判断される場合のみ事業所得をする。としている。
まあ、航空機リースにあたり、するかしないの決議をとっておけば、よかったのでは、ないかと個人的に読める。
そうすると、匿名組合じゃないんじゃないのと言われると、フームだ。


23、リミテッド・パートナーシップ(LPS)の租税法上の扱い

Xは、投資として、海外不動産に投資する投資有限会社に、20万ドルを投資した。
投資有限会社の損失をXは、所得税から、控除して申告をした。
それに対して、課税行政庁Yは、否認した。
Xは、処分の取り消しを求めて訴えた。
1審2審ともに、Xの請求が、認められた。
Yが、上告
最高裁は、投資有限会社が、日本での、法人に相当する地位にあるか、
当該組織の権利が、帰属されているかどうかで、判断すべきだとした。
投資有限会社は、自ら、法律行為の当事者になることができ、
かつ、
その法律効果が本件各LPSに帰属するものということができる・・・。
として、外国法人に該当するとして、
Xの主張を認めなかった。
まあ、本件は、外国法人にも、わが国の考え方に当てはめて、考えるこということが、
示された意義深い判例である。


24、連帯納税義務

A社、B社の経営者Pに対して、料理飲食等消費税が、課されていたが、滞納した。
別に、Pの債権者Xが、Pの不動産に任意競売をしようとしたら、料飲税の債権者Y県税署長が、
待ったをかけた。
法定納期限等で、争って、
どちらが劣後されるかの問題となるかで、訴えた。
1審、2審ともXの請求は、棄却された。
最高裁は、一部破棄差し戻しにした。
本件徴収金の法定納期限等は、
同人にに対して納税告知書を発した日ではなく、
A社又はB社のした納入申告に基づく法定納期限等であると解した原判決には、
法令の解釈摘要を誤った違法があるとした。
まあ、評者は、連帯納税債務は、他者に確定した場合だからといって、
連帯者まで、確定したわけではないという有意義な判決としている。
まあ、南繁樹弁護士だ。
金子宏先生は、連帯納税義務について、
複数の者が、連帯して負担する1つの納税義務をいうと定義している。らしい。
まあ、国や県は、連帯納税義務者にも、催告をしないと確定しないといった判決だと
オイラは、解釈した。
別な意味で、連帯納付義務もあり、なかなか、用語の確定自体が、難しい。
理解しずらい判決だ。奥が、深い。
民訴も関わっており、オイラには、難しい判決なり。


25、第二次納税義務

Xは、法人税等を滞納している訴外A社より、株式を低額で、譲り受けた。で、
国税より、第二次納税を言われて、異議申し立てをした。
国は、不服申し立て期間を過ぎているということで、却下した。
で、Xは、そんなことはないと審査請求をしたところ、却下されて、
告訴した。
最高裁は、
国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が主たる課税処分に対する不服申し立てをする場合、
国税通則法77条1項所定の「処分があったことを知った日」とは、
当該第二次納税義務者に対する納付告知(納付通知書の送達)がされた日をいい、
不服申立て期間の起算日は納税告知がされた日の翌日であると解するのが相当であるとした。
で、破棄自判。
まあ、不服申し立ては、間に合っているという判決だ。
まあ、もともと、救済の意味での、不服申し立てだから、判旨に賛成だ。
法の安定性から見ると、納税義務の期間と不服申し立ての期間が、違うと問題があるという設があるが、
まあ、救済するために法律だから、甘くていい感じである。
金子宏先も、主たる課税処分の通知日の翌日を起算日とすると、
納付告知処分の時点で既に不服申立て期間を徒過している場合、
不服申立て前置主義(税通115条1項)を採用する現行法の元では、
第二次納税義務者の救済手段が、断たれてしまうと批判している。


26、第二次納税義務の{徴収不足}要件

A社は、訴外B社から、不動産を低額譲渡された。そして、抵当権抹消登記を行った。
B社に破産手続きがされた。
東京都は、B社の都税をA社に第二次納税義務があるとして、請求した。
A社は、取消を求めた。
一審は、A社の請求が、認められた。
東京都Yは、上告した。
途中、A社は、Xに吸収された。
最高裁は、
地方税法11の8条は、滞納者である本来の納税義務者が、
その地方団体の徴収金の法定納期限の1年前の日以後にその財産について無償又は著しく低い額の対価による譲渡、
債務の免除その他第三者に利益を与える処分を行ったために、
本来の納税義務者に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められるときは、
これらの処分により権利を取得し、
又は義務を免れた第三者に対して、
これらの処分により受けた利益が現に存ずる限度において、
本来の納税義務者の滞納に係る地方団体の徴収金の第二次納税義務を課しているとしたが、、
Yは、破産管財人から、回収しているんじゃない、競売で、配当も受けているよねとして、
滞納すべき額に不足すると認められる場合に該当しないとし、
上告を棄却した。
評者は、
本判決の射程は地方税法11条の8以外の第二次納税義務にも及び得るとした。
まあ、取れるところから、取るじゃなくて、
確定したところから、ちゃんと取れということだと思う。


27、国税徴収法39条による第二次納税義務

Aは、多額の所得税を滞納していた。Aの妻Bが、死亡し、子のXに多額の相続をさせた。
そこで、課税行政庁は、二次納税義務として、Aの債務をXに払わせようとした。
で、Xが、告訴。
1審2審とのXの請求を棄却した。
最高裁は、滞納者である相続人にその相続分に満たない財産を取得させるさせ、
他の相続人にその相続分を超える財産を取得させるものであるときは、
国税徴収法39条ぶいう第三者に利益を与える処分に当たり得るものと解するのが相当である。とした。
評者は、佐藤英明先生である。
佐藤先生は、
本判決は、{滞納者を含む共同相続人の間で、成立した遺産分割協議」が、
「徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり得る」点を判示した初めての最高裁判決である。としている。
詐害行為取消権との関係も最高裁は、判断していないと佐藤先生は、しているみたいだ。
佐藤先生の解説は、難しすぎて、リテラシーの低いオイラには、分からない。


28、課税物件の帰属

Xは、歯医者で、息子A歯医者で、それぞれ、開業届を出し、折半で、申告していた。
課税行政庁が、Aは、Xの専従者として、更正処分を行った。
1審は、医院の経営に支配的影響力を及ぼしているのは、Xであるとして、
Xの請求を棄却した。
2審で、確定した。控訴棄却
判旨は、したがって、右認定のようにXとAの診療方法及び患者が別であり、
しずれの診療による収入が区別することが可能であるとしても
Xが医院の経営主体である以上、
その経営による本件収入は、Xに帰するものというべきである。とした。
まあ、歯医者の設備は、Xのレンタルみたいだったし、
その費用の落ちるのも、Xの口座みたいだった。
まあ、Aの分の設備は、Aの口座から、落ち、一緒の医院で、やって、収入、費用を折半するというのは、無理があっただろう。
まあ、家も、2階3階に別世帯で、住んでいると認識されている。
せめて、医院の入り口を別にして、電話とかを別にしないと無理なような気がする。
まあ、リース契約で、やむを得なく、別にせざるを得ないという理由がない限り、
無理なように気がする。


29、外国子会社の欠損金の帰属

Xは、内国法人であり、100%子会社のAをパナマに設立した。
パナマに事務所は、設置せず、Aの書類は、Xで、保管した。
Aの資産負債収益は、Xに帰属するものとして、Xは、申告をしていた。
Aの負債もXに帰属した。
課税行政庁Yは、タックスヘブン対策税制が、
適用されて、範囲外のものは、考慮できないものとして更正処分を行った。
Xが、取消も求めて出訴
1審は、特定外国子会社等に係る欠損を内国法人の損金の額に算入することはが、
措置法66条の6によって禁止されるとすることはできないと判示して
Xの請求を認容したが、2審は、措置法66条の6の適用が、受ける場合には、
同条に従った処理が、強制されているとし、
Xの請求を棄却した。
最高裁は、本件において、原審が適法に確定した事実によれば、
Aにおける船舶の保有、その運用等が、すべてXの決定によるものであるとしても、
これらは、措置法66条の6の上記趣旨をも考慮すれば、
法律上Aの事業活動と認めるべきであることは明らかであり、
したがって、これらの活動に係る損益は、同社に帰属するものであって、
Xに帰属するものではないというべきであるとした。
で、上告棄却
タックスヘブン税制は、低税率国での一定関係の企業は、内国法人の損益に算入されるという。
まあ、損失は、繰越控除を認められるとしている。
で、最高裁は、欠損の金額を損金に算入することは、できると解することは、できないとしている。
まあ、Aの赤字は、Aに帰属すると判示している。
帰属できるのは、特殊な事情があるときだけとしている。
特殊な事情って、どういう事情なんだろう。
リテラシーの低いオイラには、分からない。
誰か、教えて欲しい。


30、課税単位

Xは、給料所得と事業所得は、妻の家事協力により、
取得できたものとし、これらを2分の1にして配当所得を加えた所得で、確定申告した。
課税行政庁Yは、すべてXの所得だとし、更正処分を行った。
1審、2審ともX敗訴。
Xは、Yの認定が夫婦間協力を全く評価せず妻の尊厳を害しており、
民法762条1項、および、憲法24条に違反していると上告した。
上告棄却
最高裁は、それ故、本件に適用された所得税法が、生計を一にする夫婦の所得の計算について、
民法762条1項によるいわゆる別産主義に依存しているものであるとしても
同条項が憲法24条に違反するものといえないことは、
前記のとおりであるから、、所得税法もまた、違憲ということはできないと判示した。
まあ、家事協力があるから、所得を2分1とするところは、無理といわざるを得ない。
まあ、評者は、いろいろ理屈をいっているが、
オイタは、基本的に、家事協力があるから、2分1にしろというのは、無理がある。
今時は、収入も別々だし、家事のそれぞれ分担する時代だ。
女性が、家事をしているから、という判断は、無理がある。
Xの主張は、今の時代に合わない感じだ。


31、「生計を一にする」の意義

Xは、印刷業を営み、長男A次男の雇用費を必要経費として申告していた。
課税行政庁Yは、これを否定して更正処分を行った。
で、Xは、訴えた。1審、2審ともXが、負けた。
2審では、Aの源泉引いてないし、帳簿に記載してないし、Aらは、Xのお金で、生活をしていると認定された。
最高裁は、破棄差し戻し
Aらは、毎月支給を受ける右金員のうちから、自らの責任と計算でそれぞれの家賃や食費その他の日常の生活費を支出し、
時にXから、若干の援助を受けることがあったものの、
基本的には独立の世帯としての生計を営んでいたことが伺われるのであり、
右生計の源泉が専らXの事業にあったからといって、
Xと有無相扶けて日常生活の資を共通にしていたものと認めるに足りないと判示した。
生計が、同一とされるか、否かは、
居住者と他の親族との共同生活関係において、
収入の源泉のいかんに関わらず日常生活における経済的基盤によって決せられるとされている。
まあ、その収入とか、関係なく、出るときのお財布が、一緒かどうかということだ。
まあ、最高裁は、Xと長男、次男のお財布は、別だと認定したわけだ。
まあ、ただ、これも、専従者給料の届け出を出しておけば、問題ないような気がする。
まあ、高額だと否認されるけどね!


32、所得税法56条の適用範囲

Xは、弁護士で、その妻Aも、弁護士で、別々に事務所を構えて事業を行っていた。
Xは、毎年595万円の弁護士報酬をAに支払っていた。
これに課税行政庁Yは、これをXの経費に認めず、更正処分を行った。
Xは、独立してやっていんだから、所得税法56条の適用をうけるべきでなく、独立してやっているんだから、
家族労働が、経費に入るのと比較して、不合理であり、
憲法14条1項に違反すると訴えた。
1審は、生計を一にする配偶者であること、
支払が、その居住者の営む不動産所得、事業所得、又は、山林所得を生ずべき事業に従事したこと
その他の事由により当該事業から対価を受けている場合は、、
所得税法56条1項が、適用されるとした。
2審もXは、敗訴
最高裁は、上告棄却
最高裁は、同法56条の上記の趣旨及びその文言に照らせば、
居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が、
居住者とに事業を営む場合であっても、そのことを理由に同条の適用を否定すrことはできず、
同条の要件を満たす限りその適用があるべきというべきである。
とした。
まあ、専従者給料の届け出を出していなかったのかなあ。
まあ、出していても、高額だったので、認められなかったのかあと感じた。
でも、今日なら、この程度の給料は、当たり前だよね。
まあ、評者は、弁護士、税理士裁判のことも取り上げていたが、
まあ、評者が、いうように、
弁護士、税理士裁判で、この問題の決着をつけた感じだ。
まあ、高額な専従者給料は、署と事前協議をすべきだなあと、オイラは、感じた。


33、不法な所得

Xらは、金融業者で、違法な利息で、貸金業を行っていた。
課税行政庁Yは、Xらの昭和32年分の所得税について、
同年中に弁済期の到来した制限超過利息は未収のものであっても総収入金額に含めるものとして、
増額更正処分をした。
Xらは、これを不服として、適法な不服申立手続きを経て、
Yらを訴えを提起した。
1審は、Xらの主張を認めて更正処分の一部を取消、2審もこれを支持した。Yらが、上告
最高裁は、上告棄却
判旨は、
現実に収受された場合は、
・・・課税の対象となるべき所得を構成するか否かは、必ずしも、その法律的性格いかんによって決せられるものではない。
・・・以上、宣言超過部分をも含めて、現実に収受された約定の利息・損害金の全部が、貸主の所得として課税の対象となるべきである。
未収の場合は、したがって、制限超過の利息・損害金は、たとえ約定の履行期が到来しても、
なお未収である限り、旧所得税法10条1項にいう「収入すべき金額」に該当しないものというべきである。
としている。
まあ、違法な行為は、収入にしてしまえば、所得にするが、未収な、違法行為については、所得にはしないという判断だと思う。
まあ、不動産屋もやっている身分としては、手数料を3%と以上、売主、買主から、お礼で、貰ったら、
収入に計上をしないとマズイということになる。
やくざのみかじめ料も、貰ったら、収入にしないと、税務署が、来るということだ。
まあ、やばい業界の人は、わからないから、申告しなくていいなあと思っていると、
ある日、税務署が、やってくるというわけだ。
やばい所得も入ったら、申告しよう。
まあ、約束で、貰える予定のやばいお金は、確定していても、申告しなくていいということだ。
現実に入ったら、申告をしないといけないということだと思う。


34、非課税所得

Xの夫Aは、Aを被保険者、Xを受取人で、年金保険をかけていた。
Aが、死亡し、Xは、毎年230万円の年金を貰っていた。
Xは、確定申告で、収入を計上しなかった。
Aの相続税で、受給権価額1380万円を算入していた。
課税行政庁Yは、230万円を雑所得として、更正処分をした。
で、Xが、訴えた。
1審は、相続税を課税した上、更に個々の年金に所得税を課税することは、
実質的・経済的に同一の資産に関して二重に課税するものであることは明らかであって
として、Xの請求を容認した。
2審は、本件年金は、本件年金受給権とは法的に異なるもであり、
Aの死亡後に支給権に基づいて発生したものであるから、
相続税法3条1項1号に規定する
「保険金」に該当せず、とし、Xの請求を棄却した。
最高裁は、本件年金受給権は、年金の方法により支払を受ける上記保険金のうち有期定期金債権に当たり、
また、本件年金は、被相続人死亡日を支給日とする第一回目の年金であるから、
その支給額と被相続人死亡時の現在価値が、一致するものと解される。
そうすると、本件年金額は、すべて所得税の課税対象にならないから、
これに対して所得税を課することは、許されないとし、破棄自判をした。
まあ、本人訴訟で、あまり、訴訟に詳しくない税理士が、補佐人として、ついて、行った訴訟である。
まあ、地裁は、。可哀そうだから、Xの勝ちにした感じだ。
まあ、年金払いと一時払いとで、課税上の差異を儲けていたことに問題があったみたいなことを評者は、言っている。
まあ、年金で、貰うと所得税が、かかるのは、可笑しい感じもした。
不動産については、23年改正で、明文化されたと評者は、書いているが、
誰か勇者が、不動産の相続税を払った場合の、運用益の所得税を非課税とする訴訟を起こして欲しいと思った。
まあ、相続税を払った上に所得税を課すのは、二重課税だよね。
本当、日本の税金は、可笑しい。
海外で、相続税のある国は、少ない。
憲法違反の気がする。

35、非課税となる損害賠償金等の範囲

Xは、A商事との先物取引をして、損害を受けた。
Aは、意志疎通のない取引があったとし、和解金457万455円を払った。
Xは、平成15年の確定申告にその金額を含まずに申告した。
課税行政庁Yは、和解金は、雑所得じゃないかとし、更正処分をした。
で、Xは、訴えた。
争点は、本件和解金が不法行為に基づく損害賠償金に当たるか否か、および本件和解金が、所得税の課税対象になるか否かであった。
最高裁判旨は、
「本件和解金がA商事のXに対する不法行為に基づく損害賠償金に当たるものであることは、
前述のとおりであるから、本件和解金は、
施行令30条2号にいう「不法行為その他突発的事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金」
に当たるとういべきである。とした。
まあ、資産に加えられた損害につき支払を受けるものは、不法行為その他突発的な事故によるものに非課税を限定している。
まあ、評者は、先物取引に説明責任があるじゃないので、本件は、不法行為による損害賠償金としている。
まあ、本件は、突発的に事故かどうかについては、まあ、評者は、先決判例を持ち出し、
当該先物取引は全体として正常な取引を大きく逸脱した勧誘行為によるものであり、
それによる損害は納税者の合意を得ない予想すべき範囲を超えているものとして、「突発的な事故」によるものに該当すると判断したとした。
まあ、評者は、非課税規定の解釈について不明確な部分を残しているとしているとしている。
まあ、病気の損害賠償金は、全面的に非課税であるが、資産に加えられた事故による損害賠償金は、突発的事故に限定している。
まあ、いろいろこれから、議論される分野だ。
まあ、本件は、担税力に着目しているが、金がないから、払わなくていいというのは、可笑しい気もする。
やはり、説明責任を果たしてない義務の中で、損害を受けたということで、突発的事故であるとすべきだ。
Aが、説明責任をはたしていれば、Xは、損害を回避できたという判断にすべきだと思う。-


36、利子所得の意義

金融機関のXは、社債発行会社対して、デット・アサンプションという契約を結んだ。
デット、・アサンプション契約とは、償還前の社債に対して、その分の金額を金融機関に積んで
形式上償還したことにする契約である。
で、社債発行会社は、金利の支払いを免れるという感じである。
金利の負担をするXに対して、課税行政庁は、
源泉税を支払えときたのである。
Xは、異議申し立てをして、審査請求を経て、取消訴訟をした。
1審は、棄却。で、Xは、控訴。
控訴審は、本件各契約は「各支払日を返還期限として、
A金員の寄託を受け、
A金員に寄託を受けた期間に係る利子に相当する本件金員を加算した額をB金員として返還するという預金契約と、
預託されたA金員及びその利子を原資として、
B金員を本件各社債発行会社に代わって支払うという委任契約とが複合した契約であって、
本件金員は、
本件各社債発行会社が銀行であるXに消費寄託した預金(A金員)に対する利子に当たるとした。
上告棄却
評者の長戸先生は、令和5年3月21日現在、国の補佐人である。
本判決の意義は、デット・アサンプションという特殊な金融取引について、法的性質を重視し、
預託を受けた金員が、「預金」、履行を引き受けた債務の額と預託金との差額部分が利子所得に当たると判断した点にあるとした。
簡単にいうこれって、社債が、いらなくなって、返す期間まであるで、銀行にその分のお金を預けると社債が、帳簿上消えるというスキームで、
負担する費用を利息として認識して、源泉がかかるという判断で、いいのかなあ。
リテラシーの低いオイラには、上手く分からない。
誰か、教えて下さい。


37.不動産所得と譲渡所得の区別

Xらは、所有している土地の容積率が、余っているので、隣地と思われる土地に容積利率を貸し出して、
永久的に、隣地が、使えるように、地役権設定をした。
その年の所得税の申告に得た金員を不動産所得として、確定申告した。
で、Xらは、本件対価は余剰容積利用権という資産の譲渡の対価であり、
譲渡所得であると更正の請求をした。
課税行政庁は、更正する理由がないとして、通知処分をして、
更正処分、過少申告加算税賦課決定処分をした。
で、Xが、訴えた。
1審は、不動産所得に当たるとした。
2審は、控訴棄却、最高裁は、上告棄却
2審は、
当裁判所も、本件契約は地役権設定契約であり、
地役権設定の対価は譲渡所得ではなく、
不動産所得に当たるから、Xらの請求はいずれも理由がないものと判断する。
その理由は、原判決を次のとおり訂正し、
次項で当審における判断を補足するほか、
原判決・・・に説示された通りであるから、これを引用する。とした。
まあ、利用権であって、本土地を区分して売れないから、譲渡所得じゃないとしているみたいだ。
評者は、10分の5を超えるものがあったらという、学説を引用して、実質課税の余地があるとしている。
オイラ的には、譲渡所得だろう。
これを、毎年払う地役権の一括払いとする考え方は、納得できないな。
所有する土地の権利の一部を譲渡したのだから、譲渡所得だよね。
でも、裁判じゃ、負けてしまったなう。
これで、容積率の貸しだしの地役権は、不動産所得という判例が、確定してしまった。
酷いなあ。


38、事業所得と給与所得の区分

弁護士Xが、報酬を受けていた。ある時、所得税につき報酬が、給与所得として、確定申告をした。
税務署長Yが、事業所得として、更正処分を行った。一部を給与所得として再更正処分を行った。
Xは、不服として審査請求後に訴えた。
1審2審ともXの負け。
最高裁は、棄却した。
すなわち、事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、
かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、
これに対し、給与所得とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して
提供した労務の対価として使用者から受ける給付を言う。
なお、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、
時間的な拘束を受け、
継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、
その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならないとした。
まあ、評者は、給与所得に従属性が、あまり、求められなくなったとして、明確に従属性が、認められる時は、給与所得としている。
判例は、非独立性にあるといっている。従属してなくても、独立してないなら、給与所得としている。
前の会計事務所で、クライアントのタレント事務所で、タレントさんが、税務署に事業所得じゃないのと言われ、揉めたことがあった。
どうなったかは、忘れた。
まあ、この裁判では、弁護士先生は、独立しているよね。契約によって作業をしているのであって、
麻酔医師の事例のように、
独立しているからといって事業所得じゃないとしている。他者によって、作業とか、時間を決められているから、としている。
弁護士先生は、自由だもんね。
でも、判断難しい。弁護士先生と麻酔医師の差が、分からないなう。
評者は、非独立性が、重視されているとしている。


39、ストックオプション課税

Xは、米国法人Aの100%子会社Bの代表取締役を務めていた。
A社の株のストックオプションを付与されていた。
それを行使した。
経済的利益を一時所得として申告した。
課税行政庁は、給与所得として更正した。
Xは、更正処分の取り消しを求めた。
1審は、Xの請求を容認したが、2審は、棄却した。
最高裁は、
本件事実関係によれば、「本件ストックオプション制度に基づき付与されたストックオプションについては、
被付与者の生存中は、その者のみがこれを行使することができ、
その権利を譲渡し、又は移転することはできないものとされているというのであり、
被付与者は、これを行使することによって、
初めて経済利益を受けることができるものとされているということができる。
そうであるとすれば、A社は、Xに対し、
本件付与契約により本件ストックオプションを付与し、
その約定に従って所定の権利行使価格で株式を取得させたことによって、
本件権利行使益を得させたものであることができるから、
本件権利行使益は、A社からXに与えられた給付に当たるものというべきである。」
とした。
この裁判、野本昌城弁護士が、検察庁の訟務課長の時の事案である。
まあ、講演会で、聞いたことがあり、生々しい話で、面白かった。
まあ、評者は、1審は、XとA社の支配を認めなかったが、2審、最高裁は、A社の支配、影響は、Xにあるとしている。
1審は、A社は、Xの雇用関係がなく、影響は、希薄だとしているが、米国法人の人事への影響力はあり、
日本法人の業績の連動は、あるものとする2審、最高裁の判断は、正しいと私も思える。
評者は、最高裁は、38事件の56年判決の給与所得の該当性を覆すものではないとしている。
それと、従前までは、一時所得とされていて、判断を変えたので、過少申告加算税は、否認されている。
でも、38事件の解釈を否定して、これは、傍論としていて、38事件の解釈は、生きているという評者の意見は、
考え方が、混乱する感じ。
最高裁の判断は、一本化して欲しいよね。
基本は、これだけど、別な考え方も時にはあるじゃ、困る。
非独立性か、従属性を給与所得に求めておきながら、
それが、なくても、給与所得だと言われてもね。


40、10年退職金事件

Xは、会社の経営が、苦しくなったので、更生法を申請した。
そこで、従業員は、10年退職金制度を要望した。
で、Xは、10年退職制度と55年定年制度に変えた。
で、15名の社員が、応募して、2名が、実際にやめ、あとは、再雇用になった。
課税行政庁Yは、この退職金は、給与として、源泉徴収義務と不納加算税を課してきた。
で、Xが、訴えた。
1審は、給与ではなく、退職金として、Xの請求を容認した。
2審は、棄却し、Yが、、上告、
最高裁は、破棄差し戻しにした。
最高裁は、・・・7右規定による「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」にあたるというためには、
それが、(1)退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること、
(2)従来の継続的な勤務に対する報酬ないしその間の労務の対価の一部の後払いの性質を有すること
(3)一時金として支払われること、との要件を備えることが必要であり、
また、右規定にいう「これらの性質を有する給与」にあたるというためには、
それが、形式的には右の各要件のすべてを備えていなくとも、
実質的にみてこれらの要件の要求するところに適合し、
課税上、右「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものであることを必要とすると解するべきである。
とした。
まあ、大幅な環境変化とか、3要件の一つでも、満たせばいいのだろう。
評者は、労働条件勤務条件の大幅な変更があった場合には、退職手当が、認められるとしている。
オイラも賛成なう。
だから、代表取締役が、取締役に降格して、報酬を2分の1以下にした場合には、退職金の支給が、認められるべきである。
まあ、退職金を支給して、また、すぐに、会社に貸し付けた場合は、どうなるんだろうか。
未払金にした場合は、どうなるのだろうか、疑問が、残る。


41、譲渡所得の意義

訴外Aは、Bに不動産を売却して、即時移転登記をしたが、支払を分割する旨契約をした。
翌日A死亡、相続人Xは、期中に入ってきた金額のみ総収入として申告した。
課税行政庁は、これを認めなかった。
1審は、Xの請求を認めた。
2審は、判決を取り消したので、Xは、上告
最高裁は、上告棄却
最高裁は、「以上のような譲渡所得に対する課税制度の本旨に照らして考察すると・・・。代金の支払い方法が長期にわたる割賦弁済によるときは、
特定の年度に集中して課税することなくm、
割賦金の支払いまたはその弁済期毎にその都度資産の譲渡があるとみて、
当該弁済期等の属する年度毎に個別的に課税すべきであるとする見解は、
とうてい採用し難いのである」とした。
評者は、本判決は、最判、昭和43年10月31日の判示を踏襲しているとしている。
譲渡所得の本質は、キャピタルゲイン、すなわち所有資産の価値の増加益であるとした。
でも、分割分を毎年、移転登記をしたら、どうなんだろうという疑問も残る。
毎年、少しずつ、移転登記をして、少しずつ申告したら、課税行政庁も文句言えないように気がする。
まあ、面倒だけど。
まあ、シャープ勧告に従うと否認されそうだ。
でも、誰か、やってみて欲しいなう。


42、二重利得法

Xは、贈与や相続した山林を宅地に造成して、売却した。
本件土地の譲渡から、発生する所得を長期譲渡として申告した。
これに対して、Y税務署長は、宅地造成によって生じた利益に対応する部分を事業所得、
その他を譲渡所得として、更正した。
Xは、訴えた。
請求棄却
地裁は、「土地等の譲渡が棚卸資産又はこれに準ずる資産の譲渡に該当する場合であっても、
極めて長期間引き続いて販売目的以外の目的で所有して土地等について、
販売することを目的として土地造成等の加工を加えた場合には、
その土地等による所得には、
右加工を加える前に潜在的に生じていた資産の価値の増加益に相当さるものが相当部分含まれていると考えられる。
そこで、そのような場合には、
右加工に着手する時点までの資産の価値の部分に相当する所得を譲渡所得し、
その他を事業所得又は、雑所得をするのが相当である。」とした。

評者は、本判決では、長期間にわたって販売目的なく保有していた土地に、
土地造成等の加工が加えられて生じた所得について、
その所得区分が争われたとしている。
いわゆる二重利得法を採用した判決だとしている。
評者は、金子先生の租税法を引用して
一般に、所有者の意思によらない外部的条件の変化に起因する資産価値の増加は、
譲渡所得にあたり、
所有者の人的努力と活動に起因する資産価値の増加は、事業所得股、雑所得にあたるとされるとしている。
はあ、不動産屋をやっていると相続した土地を売るのに、造成すると事業所得にあたるって、
可笑しくないのか。
売るためには、仕方ないだろ。
誰も、山林なんか、買わないよ。
馬鹿じゃないのかだ。課税行政庁って、思う。
だったら、
山林のまま、個人から、法人に土地を売り、法人で造成すれば、
安い法人税で、課税されるよね。今は、土地の重課はないしね。
そう思うよ。
本当、日本の税法って、クソ野郎だ。


43、資産の意義

日本振興銀行は、民事再生を使った。
取締のXは、平成22年3月19日に、中小企業保証機構㈱に、950株を335000円で売った。取得費、72492円、
平成22年10月20日にE税理士に本件株3100株を1円で、売った。取得費、81462円。
Xは、平成22年度の申告を譲渡所得31825万円と3100円の合計額から、取得費68867400円と2億52352200円を控除して、
ー3146500円と申告した。
Y税務署長は、31825万円から、68867400円を控除した249382600円所得とする更正を行った。
で、Xが、提訴、地裁は、棄却した。
高裁も棄却。
「したがって、同項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には、一般にその経済的価値が認められて取引の対象とされ、
増加益が生じるような全ての資産が、含まれるが、その一方で、
上記の増加益えお生じ得ないもの、
すなわち、社会生活上もはや取引される可能性が全くないような無価値なものについては、
同項の規定する譲渡所得の基因となる「資産」には当たらないものと解するのが相当である。」
とした。
評者は、株式のうち「自益権や共益権を基礎とする株式としての経済的価値を喪失したものは(資産)非該当であるとした意義があるとした。
まあ、1円で、売買した株は、価値がなく、その取得費も無視するということらしい。
まあ、無価値化株式の損失は、他の株式譲渡益や他の所得から、控除できないという扱いがされている均衡があると評者はしている。
評者は、資産に該当するなら、損益通算でき、非該当ならば、雑所得して、損益通算不可となる。
評者は、無価値の土地を売った場合に、どうなるのかという疑問を載せている。
湯沢のマンションが、10万円だけど、3000万円くらいで、みんな買っているよね。
これも、否認される恐れがあるということだ。
評者は、本件の射程は、不動産に及ぶのか、それとも、株式だけかという疑問をなげかけている。
まあ、リテラシーの低いオイラには、わからない。
誰か、解決してくれ!


44、譲渡の意義(1)

訴外Aは、相続した土地を、妻X1、長男、その他の子供に贈与した。
その時、負担付贈与にした。
で、妻や子供たちが、土地を競艇企業財団に売却した。
確定申告にあたり、当時の所得税措置法60条1項を使って申告した。
Y税務署長は、贈与ではないとして、措置法60条1項を適用せず、
取得価格の引継ぎは、認められないとして、更正処分をした。
Xらは、処分の取り消しを訴えた。
1審は、負担付贈与は、取得費に含まれないとして、棄却した。
2審は、60条1号1項にいう贈与について、
贈与者に経済的利益を生ずる負担付贈与を含まないと解することを持って租税法律主義に反することはできない
と示し、控訴を棄却した。
最高裁は、移転契約は、負担付贈与に当たるところ、
所得税法60条1項1号ぶいう「贈与」には贈与者に経済的な利益を生じさせる負担付贈与は、含まないと、解するのを相当とし、
として、上告棄却した。
まあ、負担付贈与は、取得費に含まれないとされた。
あの、大島訴訟で、納税者側に立った北野先生は、評者によると、
借用概念として「負担付贈与」も「贈与」に含まれると解することができるとしている。
まあ、取得費の引継ぎは、課税の繰り延べをした場合に、
取得費は、移転した時の時価にするじゃなく、
繰り延べをしなかった移転の時まで、遡る趣旨だ。
そう、税金を持っていきたいという趣旨だ。
課税の繰り延べで、前に譲渡所得税を払わなかっただから、取得費は、ずっと前の時価という発想だ。
だから、単純贈与は、ずっと前の時価を取得価格にするというわけで、
負担付贈与の場合は、負担付贈与は、計算に入れないという税務署のずるわけだ。
まあ、北野先生は、負担付贈与は、計算に入れないなら、条文にかけよって、言っていると評者が、指摘している。
まあ、税務署は、負担付贈与契約をするなんて、ずるいじゃないという税務署の発想だよね。
まあ、条文に載ってないグレーゾンーンは、あとから、判決で、示すというグレーな発想の事件だ。
まあ、条文に載ってないあいまいなところは、OBが、使っていた時は、認めるけど、
試験組が、使うと否認するという感じかなあ。
こういうことを書くと、また、怒られるなう。